| 「本業は魚屋ですから魚を選ぶ目は自信があります。」
そう言う社長に会う前に古北のお店を見に行った。実は私は上海に3年住んでいるが、しんせん館の名前さえ知らなかった。確かに古北店は偶然見つける、という立地ではない。「上海にいる日本人でしんせん館の名前を聞いた事が無い人がいるのはショック」と面談の時におっしゃったが、意外と知らない人はいる。それも、二万人ぐらいは知らないだろう、と私は考えている。
会社でなく店舗を先に見に行ったのは、現場を見ればどういう経営者かということが分かるからだ。
古北店は良かった。品物がきちんと並べられて乱れが無い。誰かが品物を取ると、すぐに店員が列を直しにくる。レジは一つのレジに二人がついて、商品の袋詰めとレジ打ちを分業でやっている。人件費がかかるがこれはお客様を待たせない、という考えの現れである。カルフールのレジののろさにいらいらしている人は多いだろう。ここにはそれが無い。
これは会社に行ってみる価値がある、と判断した。実はしんせん館はネットショップの提案に行った最初の店である。システム化というのはごちゃごちゃ説明しないといけない事があって、「分からない事はしたくない」というタイプの経営者だと1回でアウトである。しかしここの社長は「ネットショップで売り上げを期待していないが、それがお客様の利便性になるならやってみましょう。」「私も店を始めた頃は店頭に立って商品説明していたが今はもうそれができないから、お客様との接点が増えることも大事と考えている。」
偉い。これがベンチャーに必要な精神である。ただ仕入れて売った残りが儲け、そういう経営をする人は事業は伸びません。儲けとは事業の発展のために再投資する資源だ、と考える人だけが会社を大きくする。【そのかわり会社を倒産させるリスクも同時にある】
最初はボランティアで、ホームページもシロウトが作った。しかし、今では社長の努力目標としていた売上高を3割以上うわまっている。知名度も上がった。「見た目のデザインが売り上げを伸ばすのではない」事を証明したと言えるだろう。そして社長が考えたのは商品分類の整理。どこに何があるのか分かりにくいという意見がよく聞かれるのでこの際、全部見直してシステムも作り替えて、逃していた潜在需要を、つまり「もっと買ってもらえるよう」に投資するというわけだ。新規の店舗も開店したが、それはネットショップのおかけで利用者を新たに捕らえたからだろう。
店舗での平均客単価とネットショップの客単価は3倍ぐらい違う(多い)。それも夜の10時過ぎにショッピングしてくる割合が非常に高い。当然ながら宅配の割合が急激に伸びているのである。
しんせん館を担当して気がついたのは、上海は物流のインフラが非常に悪い、ということである。要するに良い運送サービスが無い。モノが売れても「宅配できるキャパシティ」を越えてしまい、宅配が間に合わなくなるとお店の信用も失う。自社で運送するにも自社の商品だけ運ぶには効率が悪い場合もあるだろう。
そういう顧客の要望を満たすために上海ネット・デリバリーサービスという会社を作った。上海ネット・デリバリーサービスはしんせん館の商品も運ぶことになった。3社とも勝ち、である。一緒に成長して行きたいものである。*しんせん館の名前を知らない日本人はまだ二万人はいるはずなのである。
*【調査したのではなく、ザックリと数字を皮膚感覚で理解してもらうためにこういう言い方をしています】
|